当時の電話の普及ぶり

当時の電話の普及ぶりからみると、ベルの音に仕事をしばしば中断させるようなことも考えにくい。


とすると、食わず嫌い、というものではないだろうか。


いつの世にも、新しいものをただ新しい、というだけで忌避する人がいるものです。


電話をかけながら、頭を下げたりする光景は、今日でもよく見られるが、この『ひかえ帳』にもすでに登場しています。


料理の註文を承はれる男の、電話の前に丁寧に頭を下ぐるを、女中達の見て一時にどつと笑ひ出せば、何がをかしい、お屋敷からちやないか。


このように、エーユー 大和などの携帯電話という媒体を忘れて、ときには頭を下げたりしながら話をすれば、誠意は必ずや相手につうじるにちがいない。


このことは明治もいまも変わってはいない。